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2025/12/10

歯が割れたときにまず確認したい5つのポイントと正しい対処法

歯が割れてしまったとき、「このまま様子を見ていいのか」や「痛くないけれど放置して大丈夫なのか」と不安になる方は少なくありません。

実は、緊急度は割れた場所や深さによって大きく異なります。受診が必要になるサインを早めに見極めておけば、治療の負担だけでなく費用を抑えられる可能性もあります。

本記事では、割れた直後に確認したい点や受診の判断基準、応急処置、割れ方による治療内容と費用の違い、さらに再発を防ぐための対策まで、わかりやすくお伝えします。

迷ったときこそ、正しい知識が判断の助けになります。

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歯が割れたときにまず確認したいことと受診の目安

歯が割れたかもしれないと頬を押さえて状態を確認している女性の写真

歯が割れたときは、どの範囲が欠けているのか、どれほど深く割れているのかを確かめるだけでも、受診の緊急度が見えてきます。

痛みがない場合でも確認するべきサインがあり、気付かずに過ごすと悪化する可能性があるため注意が必要です。

この章では、割れた直後に押さえておきたいポイントと、すぐに受診すべきケースや様子見が可能なケースの違いをわかりやすく解説します。

割れた範囲や欠け方を確認するポイント

歯が割れたと感じたら、まずは欠けた部分の大きさと深さを確認しましょう。

鏡で歯の表面を見て、表層の小さな欠けなのか、縦や横に走るヒビなのかを見極めることが大切です。

浅い欠けであれば表面のみの損傷であることが多く、急に悪化する可能性は少ないでしょう。

しかし、黒い線のようなヒビが見える場合は、内部まで力が加わったサインで、放置すると割れが進むおそれがあります。

一見小さな欠片だけが取れたように見えても、歯の内部で割れが広がっていることもあるため、見た目だけで判断せず状態をしっかり確認することが重要です。

痛くない場合でも注意したいサイン

痛みがないからといって問題ないとは限りません。歯の割れは静かに進行することがあり、見逃すと治療が大掛かりになるケースもあります。

例えば、縦方向の深いヒビは神経近くに達するまで痛みが出にくく、気付いたときには大きく割れ込んでいることがあります。

また、噛んだ瞬間だけ「ズキッ」とする軽い痛みは、割れた部分に力がかかっているサインで、悪化の前兆と考えられます。

ほかにも、冷たい水でしみる、歯ぐきの近くがわずかに腫れる、触れると段差を感じるといった小さな変化も見逃せません。

痛みの有無だけで判断せず、普段との違和感を丁寧にチェックしておくことが大切です。

すぐ受診すべきケースと様子見できるケース

歯が割れたときに悩みやすいのが、「今すぐ歯医者に行くべきかどうか」という点です。

実際には、割れ方によって緊急度は大きく異なります。

噛んだときに強い痛みが出る、何もしていなくてもズキズキする、歯ぐきが腫れている、歯がぐらつくといった症状がある場合は、早急な受診が必要です。

一方で、小さな欠けで痛みもなく、普段の食事に支障がない場合は、数日ほど様子を見ることが可能な場合もあります。

ただし、割れた歯は見た目以上に弱くなっているため、後から悪化することも珍しくありません。症状が軽くても、早めの診察を受けた方が安心です。

関連記事:歯茎を押すと痛いときの4つの原因と治療法|応急処置や受診の目安も解説

歯が割れたときにできる応急処置と生活上の注意点

歯の痛みを心配して口元を押さえている女性の写真

歯が割れた直後は、何をすればよいのかわからず不安になる方も少なくないでしょう。

適切な応急処置を行えば、痛みや炎症の悪化を防ぎ、受診までの時間を落ち着いて過ごせます。

自宅でできる一時的な対処法や控えるべき行動、受診するまでに意識したい生活上の注意点を順に解説します。

自宅でできる一時的な対処法

歯が割れたと感じたら、まずは刺激しないことが大切です。痛みやしみる感覚がある場合は、冷たい水で軽く口をゆすぎ、炎症を落ち着かせましょう。

欠けた角が舌や頬に当たって痛むときは、市販の歯科用パテで覆っておくと応急的な保護になります。

欠片は診察時の確認に役立つことがあるため、捨てずに清潔な袋に入れて持参しましょう。

痛みが強い場合は市販の痛み止めでやわらげられますが、あくまで応急処置にとどまるため、受診を遅らせないことが重要です。

やってはいけない行動

割れた歯はとてもデリケートな状態のため、悪化につながる行動は避けなければなりません。

特に気を付けたいのが、割れた部分を舌や指で触り続けることです。わずかな刺激でもヒビが広がり、欠けた部分から細菌が入り込む可能性があります。

また、瞬間接着剤などで無理にくっつけようとするのはやめましょう。接着剤が治療を難しくし、歯ぐきや神経を傷つけます。

さらに、氷や飴、ナッツなど硬い食品を噛む行為も避けるべきです。弱った歯に強い力がかかると、割れが一気に深部へ広がるおそれがあります。

触らない・噛まない・くっつけない。これを意識して過ごすことが、悪化を防ぐうえでとても重要です。

受診までに気をつけたい生活習慣

受診までの数時間から数日は、歯に負担をかけない過ごし方を意識することで、割れの悪化を防げます。

食事は割れた歯と反対側で噛み、硬いものや熱い料理は避けて刺激を与えないようにしましょう。飲み物も常温を選ぶと、しみる症状や痛みが出にくくなります。

歯ぎしりの癖がある方は、就寝中に強い力が加わり割れが進むことがあるため、寝る前に深呼吸をして筋肉を緩めておくとよいでしょう。

外出時はマスクを着用すると、冷たい風が歯に当たる刺激を防ぐことができ、痛みの予防にもつながります。

受診までの短い期間でも、こうした小さな配慮が歯の状態を守るうえで役立ちます。

関連記事:【医師監修】歯が欠けたのに痛くないのはなぜ?歯が欠けたときの対処法も紹介

割れ方で変わる治療方法と費用の目安

歯科治療の器具と電卓が並んだ、治療費の目安を連想させる画像

歯の割れ方によって、必要となる治療も費用も大きく変わります。受診後にどのような流れで治療が進むのかをイメージしておくと、不安も軽くなるでしょう。

この章では、軽い欠けにとどまる場合の治療や費用の目安から、深く割れたときに必要な処置、縦に深く割れた場合の対応、さらにセラミックやプラスチックが割れたときの対処や保証の考え方まで、整理して解説します。

軽い欠けの場合の治療と費用

歯の表面が少し欠けた程度であれば、シンプルな治療で済むことが多く、受診したその日のうちに処置が完了するケースも珍しくありません。

一般的には、欠けた部分をなだらかに整えたうえで、歯の色に近い樹脂(レジン)を盛り足して形を再現します。

歯を大きく削る必要がなく、痛みもほとんど出ないため、不安なく受けられる治療です。

費用は保険適用となることがほとんどで、目安は数千円です。短時間で元の見た目に近い状態まで整えられるため、日常生活への影響もほとんどありません。

ただし、レジンは強い力に弱い素材のため、処置後しばらくは硬いものを噛むのを控えるなどの注意が必要です。

中くらいの割れの場合の治療と通院回数

欠けた範囲が広い場合や深めのヒビがある場合は、かぶせ物による治療が必要になります。歯の形を整えて型取りを行い、専用のクラウンを作製して装着する流れが一般的です。

治療には数回の通院が必要で、選ぶ素材によって費用が大きく変わります

保険適用の金属クラウンであれば負担は軽く済みますが、見た目を重視した白いかぶせ物は保険外となり、費用が高くなる点に注意が必要です。

クラウンは割れた部分をしっかり包み込んで保護できるため、噛んだときの安定性が高まり、見た目も自然に仕上がります。

ただし、土台となる歯が弱っている場合は、支えるための追加処置が必要です。

深い割れ・縦に割れた場合の治療と費用(抜歯の可能性)

歯の深い部分まで割れが及んでいる場合は、治療が難しくなる傾向があります。

割れ方によっては神経へ影響が出ており、根の治療(根管治療)が必要になることもあるでしょう。

根管治療は複数回の通院が必要で、費用は数千円程度に収まるものの、治療期間は長めです。

さらに、ヒビが歯の根元まで広がっている場合は、歯を残すことが難しく、抜歯が選択されるケースも少なくありません。

抜歯となった場合は、ブリッジ・入れ歯・インプラントなどで機能を補います。

どの治療を選ぶかによって費用は大きく変わり、特にインプラントは保険外のため費用が高めですが、噛む力や見た目の自然さに優れている治療法です。

深い割れは進行が早く、時間が経つほど選択できる治療の幅が狭くなります。少しでも気になる症状がある場合は、早めに受診することが大切です。

セラミック・プラスチックが割れた場合の対処と保証の考え方

セラミックやプラスチック(レジン)で治療した歯が割れた場合は、天然の歯が割れたときとは少し異なる対応が必要です。

セラミックは見た目が自然で強度も高い素材ですが、強い衝撃が加わると欠けたり割れたりすることがあります。

また、多くの歯科医院ではセラミック治療に保証期間を設けており、期間内であれば再作製や再装着が無償、または一部負担で受けられる場合があります。

一方、プラスチック(レジン)は経年劣化しやすく、欠けやすい素材です。

割れた場合は再度樹脂を盛り足して形を整えるだけで済むことが多く、保険適用のため費用負担も比較的軽くなるのが特徴です。

いずれの場合も、なぜ割れたのかを確認することが重要です。原因を把握できれば再発を防ぐ対策につなげやすくなります。

関連記事:差し歯の痛みが続くときは?原因と受診のタイミングを解説

歯が割れた原因と再発を防ぐポイント

歯のトラブル予防ポイントを案内する女性スタッフの写真

歯が割れた理由がはっきりしないと、「また同じことが起きるのでは」と不安が残るものです。

原因を理解しておけば再発を防ぎやすくなり、これからのケアの方向性も見えてきます。

この章では、歯が割れやすくなる主な理由や、割れをくり返さないために取り入れたい予防習慣、そしてほかの歯にヒビがないかを確認する際のポイントについて解説します。

歯が割れやすくなる主な原因

歯が割れる理由は一つではなく、日常の癖や過去の治療が重なることでリスクが高まります。

特に歯ぎしりや食いしばりは代表的な原因で、無意識の強い力がヒビを作り、突然大きく割れることがあります。

氷や固い飴を噛む習慣も歯に衝撃を与え、弱っている歯では破折につながるでしょう。

また、治療した歯は削っている分だけ強度が落ち、天然歯より割れやすいことが知られています。

なかでも大きな虫歯治療を繰り返した歯は内部が薄く、小さな力でも割れる可能性があります。

割れをくり返さないための予防習慣

歯が割れた経験がある方は、再発を防ぐために日常の習慣を見直す必要があります。

まず意識したいのが噛み癖の改善です。

片側だけで噛み続けると負担が一点に集中し、歯が弱まります。左右のバランスを意識するだけでも負荷を分散できるでしょう。

歯ぎしりの癖がある場合は、就寝前に顎の力を抜く習慣をつけたり、歯科医院で専用マウスピースを作ると効果的です。

さらに、口呼吸が続くと口の中が乾燥し、歯がもろくなりやすくなるため、鼻呼吸を意識することも大切です。

ほかの歯にヒビがないか確認する方法

一度どこかの歯が割れると、ほかの歯にも同じような負担がかかっている可能性があります。

噛んだ瞬間に一瞬痛む歯がないか、冷たい飲み物がしみる歯が増えていないかを意識しましょう。

さらに、鏡で歯の表面をよく観察すると、白い筋や黒っぽい線が見えることがあります。これは小さなヒビのサインかもしれません。

ただし、ヒビは肉眼では見つけにくいため、正確な確認には歯科医院での検査が必要です。

光を当ててヒビの方向を確認する方法や、レントゲンで内部の状態を調べる方法があり、早期に把握できれば大きなトラブルを防ぐことにつながります。

放置すると起こるトラブルと早期治療のメリット

早期治療の重要性を説明する歯科医師の写真

歯が割れたまま放置するとどうなるのか、不安に感じる方もいるでしょう。

割れた部分から細菌が入り込み炎症が進んだり、ヒビが深く広がったりすることもあります。早めに治療すれば軽い処置で済む可能性が高く、歯を残せる可能性も高まるでしょう。

この章では、放置で起こりやすい問題や早期治療の利点、将来の歯を守るために押さえたいポイントを解説します。

放置すると悪化しやすい理由

歯が割れた状態を放置すると、見た目以上に悪化が早く進むことがあります。

割れた部分は表面が不安定なため、噛むたびに強い力がかかり、ヒビが深く広がってしまうためです。

また、隙間から細菌が入り込みやすく、内部の神経や根に炎症が起こると腫れや強い痛みにつながります。

初めは痛みがなくても、数日から数週間で急に症状が進むケースも珍しくありません。

さらに、割れた歯をかばうようにすると、ほかの歯に余計な負担がかかり、トラブルが連鎖的に起こることもあります。

こうした悪循環を避けるためにも、早めの対処が欠かせません。

早期治療が軽い処置で済む理由

割れた歯は、早く治療を始めるほどトラブルが広がりにくく、軽い処置で済む可能性が高まります。

表面だけの浅い割れであれば、短時間の治療で見た目も噛む力も元の状態に近づけることが可能です。

一方、割れが深部まで進むと根管治療が必要になり、根元まで及んでいる場合は抜歯を選ばざるを得ないこともあります。

治療の範囲が広がるほど時間も費用も増えるため、早期受診の重要性はとても大きいといえます。

小さなトラブルの段階で対応できれば通院回数も抑えられ、日常生活への影響も最小限で済むでしょう。

症状が軽いうちに受診することが、長期的に見ても大きなメリットにつながります。

将来の歯を守るために大切なポイント

割れた歯の治療は、単にその一本を治すだけではなく、これから先の歯の健康を見直すきっかけにもなります。

初めに意識したいのは、歯に過度な力がかかる習慣の改善です。

噛み癖や歯ぎしりがある場合は、日常の意識づけに加えて専門的な対策を取り入れることで、将来のトラブルを大きく減らせます。

また、長く自分の歯で過ごすためには、一度割れた経験を軽く見ず、今後どのように歯を守っていくかを考える姿勢が欠かせません。

さらに、定期的に歯科検診を受ければ、ヒビや弱っている歯を早い段階で見つけられるため、再発の予防にもつながります。

関連記事:虫歯で痛いときの原因と応急処置5選|放置リスクも徹底解説

抜かずに残せるケースと抜くしかないケースの違い

歯の状態に不安を感じて頬を押さえる女性の写真

歯が割れたと聞くと「抜歯になるのでは」と不安に感じる方は多いものの、実際には割れ方によって残せるかどうかが変わります。

表面的な欠けや浅いヒビであれば修復で対応できますが、割れが根元や内部まで達している場合は抜歯になることが少なくありません。

治療方針は割れの位置や深さ、炎症の有無などで決まるため、適切な診断が欠かせません。

歯を残せる可能性が高い割れ方

表面の小さな欠けや、歯の上部だけにとどまる浅いヒビであれば、レジンや部分的なかぶせ物での修復が可能で、神経の治療を行わずに済むこともあります。

また、根元まで達していない横方向の割れは、適切な処置を行えば長く機能させられるでしょう。

小さな割れでも早めに対応するほど深部への進行を防ぎやすく、歯を残せる選択肢も広がります。

違和感を覚えた段階で受診し、歯科医の判断に基づいて治療を進めることが大切です。

抜歯になることが多い割れ方

割れ方によっては歯を残すのが難しいケースもあります。なかでも注意したいのが、歯の根に向かって縦に深く割れてしまっている場合です。

縦割れは治療で固定することが難しく、割れ目から細菌が根の内部へ入り込みやすいため、炎症や膿を繰り返す傾向があります。

また、歯の根元まで大きくヒビ割れているケースでは、噛む力が均等に伝わらず、修復してもまたすぐに破損するおそれがあります。

このような割れ方は、根管治療やかぶせ物で補強しても長期的な安定が期待できず、最終的に抜歯を選択せざるを得ないことも少なくありません。

深い割れは時間とともに進行するため、疑わしい症状がある場合は早めの受診が欠かせません。

抜歯前に確認したいポイント

抜歯が提案されたときは、納得して治療を選ぶために確認しておきたい点があります。

まず、割れがどこまで進んでいるのかをレントゲンや口腔内写真で説明してもらい、根元まで達しているかを確認しましょう。

そのうえで、根管治療や部分的な修復など、抜歯以外の方法の可能性について相談することも大切です。

また、抜歯後の選択肢にはブリッジ・入れ歯・インプラントなどがあり、費用や耐久性、メンテナンスの違いを踏まえて比較する必要があります。

判断に迷う場合は、セカンドオピニオンを利用し、複数の意見を参考にすることも有効です。

まとめ|歯が割れたら自己判断せず早めに対処しよう

歯科スタッフが患者に説明している様子の写真

歯が割れたときは、痛みが強くなくても油断はできません。

割れ方によって治療内容は大きく変わり、浅い欠けであれば短時間の処置で済む一方、深い割れは抜歯が必要になることもあります。

割れた部分は細菌が入り込みやすく、放置すると炎症や悪化につながるため、適切な応急処置を知っておくことが重要です。

また、歯ぎしりや噛み癖など日常の習慣が原因となっている場合も多く、生活習慣を見直すことで再発を防ぎやすくなります。

どの程度の割れなのか、治療が必要なのかを正しく判断するのは難しいため、自己判断では限界があります。

気になる違和感や不安があるときは、早めに歯科医院へ相談することが、将来のトラブルを避ける何より大切な行動です。

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