「虫歯が痛くて眠れない…どうしたらいいの?」
「市販薬でしのげるのかな、それとも歯医者に行くべき?」
そんなふうに迷うことは、誰にでもあるものです。
虫歯の痛みは進み具合によって強さが変わります。一時的にやわらげる方法もありますが、放っておくと確実に悪化し、抜歯や大がかりな治療が必要になることも少なくありません。
この記事では、痛みの原因やすぐにできる応急処置、夜や休日に痛みが増す理由、放置によるリスク、そして治療や予防の方法までをやさしく解説していきます。
目次
虫歯が痛むのはなぜ?進行度で変わる3つの段階

虫歯の痛みが強いと、どうしようもなくて「なぜこんなに痛いんだろう」と思ってしまうことはありませんか。
実はその痛みには理由があり、虫歯の進行度によって変化します。段階ごとの特徴を知っておくと、痛みの仕組みが理解しやすくなるでしょう。
進行度ごとの痛みの変化を整理すると、次のようになります。
- 初期の段階では、知覚過敏に似た軽い痛みが出る
- 中期に進むと、象牙質や神経に近づきズキズキと痛む
- 末期まで放置すると、歯が崩れて激しい痛みが続く
関連:原因不明の歯痛の原因(非歯原性歯痛) | 一般社団法人 日本口腔顔面痛学会
初期は知覚過敏に似た軽い痛み
虫歯の初期段階では、歯の表面を守っているエナメル質が少しずつ溶け始めます。このときは見た目にほとんど変化がなく、自分でも気づきにくいのが特徴です。
感じるとしても「冷たい水がしみる」「甘いものを食べると少し違和感がある」といった程度で、知覚過敏と勘違いしてしまう人も少なくありません。
この時期に歯科医院を受診できれば、削らずにフッ素塗布や経過観察で済むこともあります。たとえ削ることになっても範囲はごくわずかで、痛みや費用は最小限に抑えられます。
中期はズキズキと脈打つような痛みが出る
虫歯がエナメル質を越えて象牙質に進むと、冷たいものだけでなく、熱い飲み物や酸っぱい食べ物でも強くしみるようになります。
さらに虫歯が神経に近づくと、食事中だけでなく安静にしているときにも「ズキズキ」と脈打つような痛みが出るのが特徴です。
この段階では日常生活に支障が出やすく、夜眠れない、仕事や勉強に集中できない、といったこともあるでしょう。
放置すれば痛みはどんどん強まっていきます。だからこそ、この段階で治療を受けておくことが本当に大切です。早めの受診が、歯を残せるかどうかの分かれ道になります。
末期は激しい痛みが続き抜歯が必要になることも
虫歯が神経そのものにまで及ぶと炎症が強まり、何もしていなくても激しい痛みが続くようになります。
最終的に歯が根だけの状態になれば、抜歯が必要となるでしょう。その場合はブリッジや入れ歯、インプラント治療へ進む可能性が高くなります。ここまで進行する前に受診しておけばよかったと、後悔する人も少なくありません。
関連記事:痛みがなくても進んでいる?虫歯の進行速度と予防法を徹底解説
痛みが出たり消えたりする2つの理由と放置のリスク

虫歯の痛みは、強く感じたかと思えばいつの間にか落ち着いていたり、平気だと思ったら急にまた痛み出したりすることがありますよね。そんな変化に戸惑う人も多いでしょう。
ここからは、痛みが出たり引いたりする本当の理由と、放置がもたらすリスクについて見ていきましょう。
- 神経が一時的に反応を失っていることがある
- 痛みがないからといって安心するのは危険
- 放置すると抜歯や大がかりな治療につながる
神経の反応が弱まり一時的に痛みが消えることも
虫歯が進行して神経に炎症が起こると、強い痛みが出たり一時的に収まったりすることがあります。
これは神経の反応が弱まっているだけで、決して良くなったわけではありません。
むしろ炎症が深刻になっているサインであり、時間がたてば再び強い痛みに悩まされる可能性が高い状態です。
痛みがないからといって安心するのは危険
「今日は痛みがないから大丈夫」と思ってしまうのは危険です。
虫歯は自然に治ることはなく、痛みが軽くなったように感じても、実際には神経が弱って壊死に近づいている可能性があります。
そのまま放置すれば、ある日突然、強い痛みに襲われることも少なくありません。
放置すれば抜歯や高額な治療が必要になることも
痛みが出たり消えたりしている時期に受診を先延ばしすると、虫歯は着実に進行していきます。その結果、神経の治療(根管治療)が必要になり、通院回数は増え、費用は高額になるでしょう。
さらに、歯を残すことが難しくなれば抜歯となり、ブリッジや入れ歯、インプラントなどの大がかりな治療が必要になります。
関連記事:虫歯のなりかけを放置するとどうなる?治療費と痛みを防ぐ対策4つ
歯が激痛のときに試したい5つの応急処置

激しい歯の痛みは、眠りを妨げ、思考を停止させるほど強烈です。そんなどうしようもなくつらいときでも、応急処置を知っていれば一時的に痛みをやわらげられるでしょう。
次に、歯が激痛のときに試せる応急処置を紹介します。
- 市販の鎮痛剤で一時的にやわらげる
- 患部を冷やして炎症を抑える
- 歯磨きやうがいで口内を清潔にする
- ツボ押しなどの一時的対策
- やってはいけないNG行動(飲酒・喫煙・触るなど)
市販の鎮痛剤で一時的に痛みをやわらげる
虫歯の痛みがどうしても我慢できないときは、市販の鎮痛剤を使うのがもっとも手軽で、取り入れやすい方法です。
ロキソニンSやバファリンなど、一般的に知られている痛み止めには炎症によるズキズキした痛みを抑える効果があります。
ただし、鎮痛剤はあくまで応急的な対応にすぎず、虫歯そのものを治すものではありません。長く飲み続けるのは避け、必ず用法・用量を守るようにしましょう。
患部を冷やして炎症を抑える
強い痛みがあるときは、冷やして炎症を落ち着かせます。保冷剤をタオルに包んで頬の外側から当てるのが一般的なやり方です。
ただし、歯に直接氷を当てるのは逆効果になります。しみて痛みが増す場合や、炎症が悪化するおそれがあるため避けましょう。
歯磨きとうがいで口の中を清潔に保つ
虫歯のまわりに食べかすや細菌が残っていると、炎症が悪化して痛みが強まることがあります。強くこすらず、柔らかい歯ブラシでやさしく磨くことが大切です。
さらに、薄い食塩水やうがい薬で口をすすぐと清潔さを保ちやすく、応急的に痛みをやわらげる助けになります。
ツボ押しなどの一時的に痛みをやわらげる方法
手の甲にある「合谷(ごうこく)」と呼ばれるツボを押すと、歯の痛みがやわらぐといわれています。応急的に試してみる価値はあるでしょう。
また、昔から知られている方法として「虫歯の穴に正露丸を詰める」というものがあります。
正露丸に含まれる「クレオソート」に鎮痛や殺菌作用があることが根拠とされていますが、これはあくまで民間療法です。現代の歯科医療では推奨されておらず、日本歯科医師会や大学病院の歯科でも「おすすめできない」と明記されています。場合によっては刺激で炎症が悪化するおそれもあるため注意が必要です。
やってはいけないNG行動
痛みをまぎらわせようとしてお酒を飲んだりタバコを吸ったりすると、血流が促進されて炎症が悪化し、かえって痛みが強くなることがあります。
また、舌や指で患部を触るのも逆効果です。細菌が入り込んで炎症を広げる原因になるため、刺激せずにそっとしておきましょう。
関連記事:歯の痛みが示す病気の前兆|急に歯が痛んだときにやってはいけない行為も紹介
夜や休日に痛みが強くなる3つの原因

なぜか夜になると虫歯の痛みが強くなり、眠れなくなることはありませんか。
実は体の仕組みや生活習慣が関係していることがわかっています。理由を知っておくと、なぜ夜に痛みが増すのか納得できるはずです。
以下の3つの視点から解説します。
- 横になると血流が増えて炎症が悪化しやすい
- 副交感神経の働きで痛みを感じやすくなる
- 入浴や飲酒で血行が促進される影響
横になると血流が増えて痛みが強まる
夜に横になると、頭の位置が心臓より低くなるため血流が増え、炎症を起こしている神経や歯に圧力がかかります。その結果、日中よりも夜間のほうが痛みを強く感じやすくなるのです。
特に枕を低くして眠ると血流がたまりやすいため、頭を少し高めにすると痛みがやわらぐことがあります。
副交感神経が優位になり痛みを感じやすくなる
夜は副交感神経が働いて体がリラックス状態へと切り替わります。このとき、日中は気づかなかった小さな刺激にも敏感になり、痛みを強く感じやすくなるのです。
また、夜は活動が少なくなるため気がまぎれにくく、どうしても痛みに意識が集中してしまいます。その結果「夜になると急に痛い」と感じる人が多いようです。
入浴や飲酒で血行が促進され痛みが強まる
夜に入浴したあとやお酒を飲んだあとに、歯の痛みが増した経験はありませんか。体が温まり血流がよくなると、炎症が起きている部分にも血液が集まり、痛みを強めることがあります。
特に就寝前の飲酒は、血行を促すだけでなく眠りを浅くしやすいため、歯の痛みを強く感じて眠れなくなる原因にもなります。
関連記事:歯が痛い すぐに歯医者に行けない人のための応急ケアと受診目安6選
歯の激痛は何日続く?受診を判断する目安

歯の痛みは永遠に続くような気がして、どうしていいか分からなくなることもあるでしょう。実際には、痛みの続く期間は虫歯の進行度によって変わります。
ここからは、痛みの持続期間と受診の目安を見ていきます。
- 軽い炎症なら数日で収まることもある
- 数日以上続く激痛は神経が侵されている可能性が高い
軽い炎症なら数日で痛みが落ち着くこともある
虫歯の初期段階や炎症が軽い場合は、数日ほどで痛みが落ち着くことがあります。しかしこれは自然に治ったわけではなく、炎症が一時的に静まっているだけにすぎません。
歯の内部では虫歯がじわじわと進行しているため、痛みが弱まったからといって放置するのは危険です。
数日以上続く激痛は神経が侵されている可能性が高い
ズキズキとした強い痛みが数日以上続く場合は、すでに歯の神経まで虫歯が進んでいる可能性があります。応急処置や市販薬だけで症状を抑えるのは難しく、歯科医院での根本的な治療が欠かせません。
放置すると、この段階でも一時的に痛みが弱まることがあります。しかしそれは治癒ではなく、神経が弱っている危険なサインです。そのままにすれば歯の崩壊や抜歯といった大きなリスクにつながります。
痛みが長引くと感じたら、早めに歯科医院を受診しましょう。
歯科医院での治療と再発を防ぐ3つの習慣

応急処置で痛みをしのいでも、根本的な解決にはなりません。しっかり治療し、繰り返さないよう予防することが大切です。
意識したいのは、次の3つです。
- 早期治療なら削る量が少なく済む
- 麻酔や最新治療で痛みを最小限にできる
- 普段の歯磨きや食生活、そして歯科検診
早期の治療なら歯を削る量を減らせる
虫歯は早い段階で治療するほど、削る部分を最小限に抑えられます。初期の虫歯であれば、歯を大きく削らずに小さな詰め物だけで済むことが多く、通院回数も少なくて済むでしょう。
一方、放置して進行させてしまうと神経の処置や被せ物が必要になり、治療時間も費用もかさみます。
麻酔や新しい治療で痛みを抑えられる
「歯医者は痛い」というイメージから受診をためらってしまう人も少なくありません。けれども今では麻酔技術や治療法が進歩し、ほとんど痛みを感じずに治療できるケースも増えています。
表面麻酔や電動麻酔器を使った方法、レーザー治療などを取り入れる歯科医院も多く、患者の負担をできるだけ減らす工夫が進んでいます。
普段の歯磨きや食生活、そして歯科検診
虫歯の再発を防ぐには、毎日のセルフケアが欠かせません。歯ブラシだけでなく、デンタルフロスや歯間ブラシを使うと、歯と歯の間まできれいにできて予防効果が高まります。
また、砂糖を含む間食を控えることも大切なポイントです。
さらに、半年から1年に一度の定期検診を受けておけば、虫歯を早く見つけて治療でき、大きなトラブルを未然に防げるでしょう。
関連記事:痛みがなくても進んでいる?虫歯の進行速度と予防法を徹底解説
まとめ|虫歯の痛みは応急処置でしのぎつつ早期受診を

虫歯の痛みは進行度によって変化しますが、一時的に痛みが落ち着くことがあっても治ったわけではありません。放置すれば確実に悪化し、神経を失うことや抜歯が必要になるリスクが高まります。
応急処置として鎮痛薬や冷却、口内の清掃などで痛みをやわらげることはできますが、それは一時しのぎにすぎません。
夜や休日に痛みが強くなる理由や、痛みの続く期間を知っておくだけでも、不安を減らす助けになるでしょう。
根本的な解決には歯科医院での診断と治療が不可欠です。特に早い段階であれば削る範囲も少なく、治療に伴う痛みや費用の負担も軽くなります。
さらに普段の歯磨きや食生活、そして歯科検診を続けていけば、再発や将来のトラブルを防ぐことができます。
「痛みが落ち着いたから大丈夫」と思わず、応急処置はあくまで一時しのぎと考えておきましょう。
少しでも違和感や不安を感じたら、できるだけ早く歯科医院を受診することが、自分の歯を守る最善の方法です。
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