「前歯がぐらついていて食事が怖い。どう対処すればよいの?」
「歯科を受診する前に自分でできる対策はあるの?」
こうした疑問に答える記事です。
この記事でわかること
- 歯がグラグラする5つの原因
- 軽度・中度・重度別の治療法と費用・通院回数の目安
- 自宅できる予防法のポイント
歯のぐらつきは症状が悪化するため原因を早めに追求して適切な処置が必要です。放置すると歯を支えている顎の骨(歯槽骨)が減り、治療費と通院回数が増えてしまいます。
軽度ならクリーニングや噛み合わせ調整で済みますが、進行すると抜歯やインプラントが必要になり負担が大きくなります。
突然の歯のぐらつきは不安になりますよね?
ぐらつきの原因や治療法を事前に把握して、慌てずに対応しましょう。
この記事を読むことで、現在の歯の状態がわかり、受診タイミングや自宅での予防法がわかります。
健康な歯を保つために、最後まで読んでみてください。
目次
歯がグラグラする主な原因

歯がグラグラする主な原因は5つに分けられています。
- 歯周病
- 歯ぎしり
- 歯根破折
- 咬合不正
- 被せ物・差し歯の緩み
いずれも歯のぐらつきにつながるため、早めに対処することが欠かせません。
歯周病
歯周病は歯を支える骨が溶け、歯のぐらつきを招く主な原因です。炎症で歯ぐきが下がり、歯槽骨が徐々に減ります。
歯ぐきが赤く腫れ、起床時に口臭が強ければ進行を疑いましょう。
軽度なら歯周基本治療で改善が期待できますが、進行すると外科処置や再生療法が必要になります。
違和感に気付いたら早めに受診し、専門家の正確な診断を受けましょう。
歯ぎしり
歯ぎしりは睡眠中に無意識で歯を強くこすり合わせたり、食いしばったりする症状です。
歯ぎしりによる負荷は、体重の数倍に匹敵し、歯根膜やエナメル質に負担を与えます。
朝に顎がだるい、前歯の先端が平らになっているといった場合は進行を疑いましょう。
就寝前にマウスピースを装着すると歯ぎしりによる衝撃を和らげ、顎の筋肉も保護できます。
歯根破折
歯根破折は、歯の根元が割れた状態を指します。神経を抜いた歯や強い歯ぎしりが主な原因です。
根元にヒビが入ると歯がぐらつき、腫れや膿も出やすくなります。
例えば、硬い食べ物を噛んだ直後に鋭い痛みが走り、翌日に歯ぐきから膿が出たら要注意です。
浅いヒビは接着で残せますが、深い亀裂は抜歯を検討しましょう。
違和感を感じたら早めにレントゲンで検査を受け、状態を確認してください。
咬合不正
咬合不正とは、上下の歯がずれて噛み合わせが悪い状態です。力が一部の歯へ集中し、ぐらつきや痛みにつながります。
例えば、出っ歯では前歯が強く接触し、食後に鈍い痛みが残ります。
頬の内側に白い擦れ跡がある、片側ばかりで噛む癖がある場合は専門検査を受診してください。
噛み合わせを調整し、負担を均等にすればぐらつきはおさまります。
被せ物・差し歯の緩み
被せ物や差し歯が緩むことで、歯と被せ物の間に隙間が生まれます。接着剤の劣化やかみ合わせの変化で菌が隙間に入り込み、歯根を溶かします。
歯が黒ずむ、噛むと浮くなどの初期症状が出たら注意しましょう。
早期に調整すれば改善できますが、放置すると虫歯や歯根破折につながります。違和感を覚えたら、直ちに歯科で状態を確認してください。
関連記事:親知らずが虫歯になったらどうすればいいの?|放置の危険性も解説
進行度別の歯科治療方法

歯のぐらつきは、進行度によって処置が異なります。放置すると症状が悪化し、最終的に歯を失うことにもなりかねません。
まずは、ぐらつきの主な原因である歯周病の進行度に応じた治療法を把握しましょう。
進行度 | 治療法 | 特徴・目的 |
軽度 | 歯周基本治療・咬合調整 | 歯垢や歯石を除去し、噛み合わせを均等にする |
中度 | 歯周外科治療・歯の固定 | 感染部を清掃し、必要に応じて歯を固定する |
重度 | 抜歯およびインプラント、ブリッジ | 保存が難しい歯を抜き、失った部分を補い、咀嚼機能を回復する |
ぐらつきが小さくても、自己判断で放置するのは危険です。必ず歯科医師の診断を受け、自身の状態に合った治療法を選んでください。
軽度:歯周基本治療・咬合調整
歯ぐきが時々腫れたり、歯磨きの際に出血し始める段階です。
軽度の場合、原因は歯の表面や歯周ポケット内に付着した歯垢と歯石であり、これらを除去する歯周基本治療が中心となります。
軽度の治療法は、ルートプレーニングと咬合調整です。
まず歯の表面や歯周ポケットについた歯石を除去し、ルートプレーニングで歯根の表面を滑らかに整えます。続いて咬合調整で噛み合わせを調整して負担を分散させ、歯のぐらつきを予防します。
中度:歯周病治療と歯の固定
歯周病が進行し、歯周ポケットが深くなり、通常のクリーニングでは届かない場所に汚れが溜まります。
中度では、歯周基本治療だけでは歯のぐらつきは抑えることが難しく、歯周外科治療と歯の固定が効果的です。
歯周外科治療は麻酔をした上で歯ぐきを切り開き、感染した組織や歯石を取り除く手術です。歯周病の進行を食い止め、歯を保存できる可能性を高めます。
ぐらつきが大きい歯は、隣の歯と接着剤やワイヤーなどで連結し、安定させます。
骨の再生には数ヶ月以上の期間が必要ですが、歯の固定により、治療中の歯への負担を減らしましょう。
重度:インプラントとブリッジ
歯ぐきの腫れや膿があり、歯を揺らすと動く段階です。歯を支える骨がほとんど失われてしまった場合、歯の保存は難しくなり、抜歯が必要です。
抜歯後の治療法として、インプラントかブリッジが挙げられます。
インプラントは顎の骨に人工歯根を埋め込み、人工歯を装着する治療法です。隣接する歯を削る必要がなく、他の歯に負担がかかりません。外科手術が必要であり、治療期間が長引く場合があります。
ブリッジは欠損した歯の両隣の歯を削って土台とし、橋のように人工歯を被せて欠損部をつなぐ治療法です。外科手術が不要で費用を抑えられることもありますが、土台となる歯を削る必要があります。
それぞれのメリット・デメリットを理解した上で歯科医師と相談して決定しましょう。
自宅でできる予防法

歯のぐらつきを防ぐには、毎日のケアが欠かせません。
歯科で受診する前に自宅で実践できる習慣を身につけることで、通院回数や費用を減らせます。
次の3つの予防法を生活に取り入れましょう。
- 正しい歯磨きをする
- 生活習慣を整える
- 悪化させる行動を避ける
それぞれのポイントについて、手順と注意点を詳しく見ていきます。
正しい歯磨きをする
細菌は歯のすき間に潜んでいるため、歯ぐきと歯の境目を丁寧に磨きましょう。
具体的な歯磨きの手順は以下の通りです。
- 歯茎の状態に合わせた硬さの歯ブラシを用意する
- 毛先を歯と歯ぐきの境目に45度の角度で当てる
- 歯ブラシを小刻みに動かしながら、1本につき最低10往復磨く
- デンタルフロスで歯と歯の側面に沿わせて上下になぞるように動かす
- ワンタフトブラシで奥歯の裏側を磨く
毎日正しく磨くことが、歯の健康を守る第一歩です。
関連記事:【保存版】奥歯の歯茎がぶよぶよで痛いときの対処法|事前に防ぐ方法も解説
生活習慣を整える
歯のぐらつきを防ぐには、日々の食事や睡眠を見直すことが欠かせません。
次の3つを心がけましょう。
- 間食を減らし、食後はうがいをする
- 就寝90分前に入浴しら深い睡眠を確保する
- 3か月ごとに定期健診する
健診では歯のぐらつきを確認でき、必要な場合は早期の対応につながります。
悪化させる行動を避ける
ぐらつきを悪化させる行動をやめると、治療の効果が長持ちします。
特に次の4つの行動は避けてください。
- 指や舌で歯を押す
- 硬い食べ物や粘着性のある食品を噛む
- カフェインをとりすぎて夜更かしする
- 市販の接着剤で被せ物を無理に装着する
これらをやめるだけでも、歯を守る負担が減ります。歯の違和感があったら、まず習慣を見直しましょう。
よくある質問

歯がぐらつき始めるといくつかの疑問が浮かんできます。ここでは、不安に感じやすい3つの質問と回答を紹介します。
Q. 歯科に行かずに自分で治せますか?
A.自力でぐらつきを完全に止めることはできません。
ぐらつきの原因は、骨の減少や歯の根を支える歯根膜の損傷です。歯みがきだけでは、損傷した組織は元に戻りません。
Q. ナイトガードだけでぐらつきは止まりますか?
A.ナイトガードは治療の代わりにはなりません。
噛みしめの力を分散させて、歯根膜への負担を軽くするための保護具です。炎症や感染を取り除く効果はないため、根本的な改善には治療が必要です。
Q. 歯列矯正は必要ですか?
A. 必ずしも必須とは限りません。
ぐらつきの原因が噛み合わせなら、部分的な矯正が必要になる場合もあります。歯を動かさずに噛み合わせを整える方法もあるため、専門医に相談して判断しましょう。
まとめ|歯がグラグラする原因を理解して対処しよう
最後に、この記事の内容をもう一度確認しておきましょう。
- 歯のくらつきにはの主な原因は5つです
- 症状の進行具合によって、治療方法が異なります
- 初期段階で気づき、適切に対応することで進行を防げます
- 日々のケアとして、正しい歯みがきに加え、デンタルフロスやワンタフトブラシの使用も効果的です
- 定期的に歯科を受診することで早期発見につながります
歯周病は初期に症状が出にくいため、放置すると悪化するおそれがあります。歯に違和感があるときは、できるだけ早く歯科医院へ相談してください。
本記事が、歯のぐらつきに不安を感じる方の行動のきっかけになれば幸いです。
健康な歯を保つために、できることから始めましょう。
当院、医療法人歯科ハミールの分院も、今後共よろしくお願いいたします。
この記事を監修した人
