歯科治療で麻酔を使うと、ほとんどの方は痛みを感じずに処置を受けられますが、中には「麻酔が効きづらい」「痛みを感じる」といったケースもあります。
実は、麻酔の効きやすさには個人差があり、いくつかの要因が影響しています。

- 緊張や不安が強いと効きにくいことがあります
治療に対して強い不安や恐怖があると、体は自然と緊張状態になります。このとき体内ではアドレナリンというホルモンが分泌され、それが麻酔の効果を弱めることがあります。
とくに過去に痛みや不快な経験をしたことがある方ほど、この反応が起こりやすい傾向にあります。リラックスして治療を受けることが、麻酔の効きを良くするポイントになります。
- お酒やお薬の影響で効きが弱くなる場合も
日常的にお酒を飲む習慣があったり、持病などで常用薬を服用している方は、体内で麻酔薬が分解されやすくなる場合があります。とくに抗うつ薬や鎮痛薬を飲んでいる方は、その影響が出やすいです。
治療前には、飲酒の頻度や服用中のお薬について、歯科医師にしっかり伝えておくことが大切です。お薬手帳をお持ちの方は、持参するとスムーズです。
- 炎症や歯周病があると麻酔が効きづらいことも
歯ぐきに炎症があると、組織の性質が変わり、麻酔が染み込みにくくなってしまいます。また、炎症が起きている部位は神経が敏感になっているため、通常の量では痛みを抑えきれないことも。
このような場合は、麻酔の方法や回数を調整しながら治療を進める必要があります。事前に炎症を抑える処置を行うこともあります。
- 体質や遺伝による影響もあります
もともとの体質や遺伝的な要因により、麻酔の効きにくさを感じる方もいらっしゃいます。例えば、骨がしっかりしている方は、麻酔が骨の中まで届きにくかったり、代謝が速い方は体内で麻酔が早く分解されてしまったりします。
また、痛みに対して敏感な体質の方も、通常の麻酔量では十分な鎮静効果を得られない場合があります。
下の奥歯は麻酔が効きにくい?その理由

実は、歯科治療では「下顎」、とくに奥歯の部分は麻酔が効きづらい場所として知られています。これは、下顎の骨が硬く密度が高いため、麻酔薬が内部まで浸透しにくいからです。
そのため、下の奥歯の治療では麻酔の量や方法を調整することが多く、場合によっては時間がかかることもあります。
麻酔が効いていないと思ったら、すぐに伝えましょう
治療中に「まだ感覚がある」「痛みを感じる」と思ったときは、遠慮せずに歯科医師に伝えてください。我慢すると、恐怖心が強くなり、さらに麻酔が効きにくくなるという悪循環に陥ることもあります。
「チクチクする感じがある」「奥がズーンと痛む」など、できるだけ具体的に伝えると、医師も対応しやすくなります。事前に「痛いときは手を挙げます」といったサインを決めておくのも良い方法です。
麻酔を効きやすくするには?
麻酔の効果を高めるために、以下の点を意識してみましょう
リラックスして治療を受ける
緊張しやすい方は、事前に医師にその旨を伝える
普段の服薬や体調について、正しく申告する
過去に麻酔が効きにくかった経験がある場合は、あらかじめ相談しておく
歯科医師は患者さんの状況に合わせて、さまざまな麻酔法や鎮静法を提案することができます。
安心して治療を受けるためにも、不安なことは遠慮なく話してみましょう。
この記事を監修した人

当院、医療法人歯科ハミールの分院も、今後共よろしくお願いいたします。